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出題内容
2015年に「国連持続可能な開発サミット」が開催され、持続可能な開発目標(SDGs)を含む「我々の世界を変⾰する「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された。
これは、開発途上国の開発に関する課題にとどまるものではなく、世界全体の経済、社会および環境の三側⾯を、不可分のものとして調和させる統合的取り組みである。
我が国でも政府がSDGS推進本部を設置し、実施指針を⽰している。
その中では、「持続可能で強靭、そして誰⼀⼈取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指す」ことがビジョンとして掲げられ、⼋つの優先課題と具体的施策が⽰されている。表1がその具体的な内容であり、これらは⽇本としての施策の観点からまとめられているものの、総合技術監理部門の技術⼠にとっても参考となろう。
ここでは、総合技術監理に携わる技術⼠として、事業における持続可能(Sustainability)に関する課題を考えていきたい。
持続可能性は、持続可能な開発(持続可能な発展とも訳されており、この⽅が先進国の実態には近い)の前提となる概念であるが、経済、社会、環境などが将来にわたって適切に維持・保全され、発展できることを意味している。
なお、事業は有期のプロジェクト(開始と終了が計画されている)とは異なり、ある程
度の継続性を前提としたまとまりとして捉えるべきものである。例えば、⼀定の地域にお
ける⽔循環システムを対象とした上下⽔道事業などが該当する。
また、⽔供給のみに限定し上⽔事業として捉えることもできるし、⽔処理事業、浄⽔場維持管理事業などとして限定的に捉えることも可能である。ただし、例えば個々の浄⽔場建設や⾼度⽔処理システム更新⼯事などは⼀過性のプロジェクトであり、ここでの事業の定義とは異なる。そのほかにも事業としては、河川維持管理事業、道路交通安全事業、電気⾃動⾞事業、医薬品事業など様々なものが挙げられよう。
ここで、あなたがこれまでに経験した、あるいはよく知っている事業を⼀つ取り上げ、
その事業が目指している社会ニーズの充⾜や目的とする成果物の創出などを考えたとき、
事業が対象としている経済、社会、環境などの持続可能性について、その課題と解決の⽅
向性について、総合技術監理の視点から以下の(1)〜(4)の問いに答えよ。
ここでいう総合技術監理の視点とは、「業務全体を俯瞰し、経済性管理、安全管理、⼈的資源管理、情報管理、社会環境管理に関する総合的な分析、評価に基づいて、最適な企画、計
画、実施、対応等を⾏う」⽴場からの視点をいう。
また、表1の内容は施策を⽰したものであり、参考として利⽤することは推奨するものの、この中から項目を選択することを誘導しているものではない。
なお、書かれた論⽂を評点する際、考察における視点の広さ、記述の明確さと論理的な
つながり、そして論⽂全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論⽂においてあなたが取り上げる事業の内容を次の1)〜3)に沿って⽰せ。
(問い(1)については、問い(2)と併せて答案⽤紙3枚以内にまとめよ)
1)事業の名称および概要を記せ。概要については、事業の対象範囲についても明⽰すること。
2)この事業の目的(充⾜すべき社会ニーズ)を記せ。
3)この事業の成果物(創出すべき製品、構造物、サービス、技術など)を
記せ。
(2)あなたが取り上げた事業が対象としている経済、社会、環境などの持続可能性の観点からの課題について、総合技術監理の視点から、次の1)〜3)に沿って⽰せ。
(問い(2)については、問い(1)と併せて答案⽤紙3枚以内にまとめよ)
1)この事業における「過去の課題」(過去においては課題であったものの、何らかの対応が取られ現在では影響が⼩さいと考えられている)を⼆つ取り上げ、詳述せよ。
2)この事業における「現在の課題」(現在において影響が⼤きいもしくは緊急性が⾼いと考えられている)を⼆つ取り上げ、詳述せよ。
3)この事業における「将来の課題」(現在においては影響が⼩さく緊急性も低いものの、事業環境の変化や技術⾰新の進展などにより将来課題になると考えられる)を⼆つ取り上げ、顕在化の要因となる将来の変化を含めて詳述せよ。
(3)あなたが取り上げた事業の「現在の課題」について、その課題の背景および部分的にでも解決または達成する⽅策について、次の1)〜2)に沿って⽰せ。
(問い(3)については、答案⽤紙を替えて1枚以内にまとめよ)
1)(2)2)で詳述した「現在の課題」のうち⼀つを取り上げ、その課題の背景について、事業を⾏っている組織内部における制約、外部の事業環境の制約を区別して記せ。
2)この課題に対して、事業を継続する中で部分的にでも解決または達成する⽅策と、部分的にでも解決または達成された際の事業の状況について記せ。解決または達成には、事業を取り巻く内外の制約を技術発展により乗り越えること、社会的なコンセンサスの下で内外の制約を除外すること、などの⽅向性が考えられるが、そのような⽅向性にも留意して記すこと。
(4)あなたが取り上げた事業の「将来の課題」について、その課題を部分的にでも解決または達成する⽅策について、次の1)〜3)に沿って⽰せ。
(問い(4)については、答案⽤紙を替えて1枚以内にまとめよ)
1)(2)3)で詳述した「将来の課題」のうち⼀つを取り上げ、その課題が顕在化した状況を想像し、その顕在化により引き起こされる影響を記せ。なお、ここでは的確に課題と影響を設定することを要求しており、未来予測の確からしさは採点対象としない。
2)将来においてこの課題が顕在化した場合、部分的にでも解決または達成するための⽅策を記せ。
3)将来においてこの課題が顕在化することを前提とした場合、部分的にでも解決または達成するために現在から検討もしくは実施すべき⽅策を記せ。